2016年春 父母合同一日親の会(前編)
半年に1度の『父母合同一日親の会』が開催されました。
日曜日の10時スタートにも関わらず100人収容の会場はほぼ満員。
多くのお父さん、お母さんにご参加いただきました。
午前の部は、SCSを利用されながら確かな回復を遂げ、現在は就労に向けて動き出している40代の青年男性が登壇してくれました。
SCSに関係する前の彼は9年間ひきこもり、悪化の一途を辿る家族関係の中で「死」を考え続けていたそうです。
そんな彼ですが、講演中はユーモアと正直さとが見事におりなされた話術を披露。
知らない人が見たら、好青年がセミナーを立派にこなしているように感じるかと(笑)。
しかし、語られる内容は実に真に迫ります。
目眩が日々続き、足元が沈み続ける感覚で体が妙に浮遊する・・・
永遠にエレベーターが下がっているような症状があり、医者に行った。
それでも原因が分からず、某国立大学まで行き、頭に電極をつけられたり、回転する機械に乗せられたり。結局、原因不明なまま、薬が出されたことも。
追い詰められ、ひきこもる中で、「あと二日でもう自分は死ぬな・・・」。
そう思った時悔しさが湧いてきて、最後の勇気を振り絞り、
「SCSに連れてってくれ」と親にお願いしたそうです。
「今思うと、家族という土台がなかったから(症状が出てたの)かな?」と話してくれました。
「人間関係も無理、親との関係もダメ」、苦しい思いの日々は暫く続いたそうです。
そしてある日、「なんで分かってくれないんだ?」「勝手に生んだくせに見方にならず、ああしろこうしろ!と押し付けて!」と親に詰め寄り、苦しい思いを全身全霊で伝えたそうです。
その日までは、親御さんも「なんで親もSCSに関わらなきゃならないんだ?本人の問題だろう!」という態度でしたが、その日を境に親の講座に参加しだしたとのこと。
SCSにたどり着いてから4年が経過していたそうです。
彼曰く「父親との和解が必要だった」とのこと。
和解に至るまでの壮絶で感動的なエピソードが話され、会場も静まり返りながらも意識が一つに。
(ここの話はご参加頂いた親御さん・青年だけの話とさせて頂きます)
現在は、作業所(就労移行支援の一環)に通い、自分のペースを大切に取り組んでいるとのこと。
それを可能にしているのは、「親が味方についてくれているから、円を広げていくような感じで、僕を守ってくれている」「親と言う土台がしっかりしていれば、失敗しても戻って来れる」との彼の発言に集約されているかと思います。
会場には、彼の両親も参加していました。
母親は「当時、病院では入院か投薬かと言われ、納得出来ずに後日一人で聞きに行ったら外まで聞こえる声で怒鳴られた。今、本人が自立に向かい、(就労スキルの)パソコンを楽しそうに学んでいる。支えていきたい」と話されました。
父親は「(引きこもり回復は)自分だけではできない。カウンセラーと戦ってみたり(笑)。どういう思いでひきこもったか分からないと、理解しないと。
ああ!そういうことかと。父親の責任って重要なんだと。それからは、もう最後の手段だと思い、男としての責任としても彼を受け入れ、支援すると切り替えた」とのこと。
「人の世話をしている彼を見たら、本当にやってきて良かった」
父親の言葉には清々しさと重みがありました。
彼は最後に言いました
「こうやって、親の話を聞けて嬉しい。この場(会場)で3人で話せているのは良いなぁ!」と。
登壇してくれた、彼に心からの感謝と賛辞を送ります。ありがとうございました。
(*発言の固有名詞を一部伏せ、かつ分かりやすい様改変してあります。)
(次回は父母合同一日親の会:午後の部をお送りする予定です)
メッセージ
SCSはひきこもり支援を20年以上続け、(こじれたり、長期化したり、錯乱、暴力化など)ひきこもりには所謂心理療法では彼らの心に届かないことが分かっております。
必要なのは、親に優しくされ、守られ、理解されると出てくる本能的な欲求を大切に受け入れていくことなのです。それを積み上げ、真に生きるという欲求(自己実現欲求)が明確になるまで親が支え続けることが基本であり全てです。
スタッフ T.M