2018年母親講座 第3回「最良の薬『親の無条件の肯定的関心』は何よりも効くが!」
今回のテーマは「最良の薬『親の無条件の肯定的関心』は何よりも効くが!」。
「無条件の肯定的関心」というこの言葉はなかなか聞き慣れない方も多いと思いますが、心理の世界ではよく「無条件肯定」と略されたりします。
この言葉、質を担保している心理カウンセラー(臨床心理士、認定心理士、産業カウンセラー)で、知らない人がいないほど有名な言葉であり、「傾聴」という話の聞き方では基本の型とも言える重大要素なのです。
「無条件肯定」が大切だということはつまり、「ひきこもる我が子の話を無条件に肯定的に聴く」ことを指します。
「え!!?」と思いますか? …確かに驚かれるかも知れませんね。
だって、基本は全て「そう(思っているんだね)」という返事で聴くのですから。
つまり、ひきこもる我が子が…
- 「俺は死ぬまで働かねぇからな!」
- 「お前らのせいで俺はひきこもりになった!」
- 「薬の副作用のせいで働けなくなった!」
- 「手伝いなんて一生しないから!」
こんな風に言っても、聴く側である親の返事は、基本的に「そう」の一言。
そんな対応したら、「ひきこもりの我が子が本当に一生ひきこもりになってしまう!」と思いますか?
…だとしたら、あなたは心理学を全く分かっていないと言っても過言ではないかも知れません(笑)。
心理療法家三大巨人の一人:来談者中心療法の創始者であるカール・ロジャーズの大発見は「人間は安心・安全な風土の中で、肯定的に関心を寄せてもらい、共感的に心を配ってもらえれば、自然に建設的な人格になっていくいうこと」でした。
効能としては、吐き出しによる浄化作用(カタルシス)、自他の気づき、安心等が挙げられ、それらが建設的な人格と行動へのエネルギーになっていくのです。
たまに、不勉強な支援者が「ひきこもりに、全肯定はダメだ」と言いますが、着目点が非常に対症療法的というか対処的であり、はっきり申し上げて理解が浅い。
ダメなのは「限界設定必須な暴力と性倒錯」くらいであり、大事なのは無条件降参ではなく、無条件にどこまで話を聴けるか・話や気持ち受け取れるかなのです。
この、無条件肯定が中々難しい。
多くの場合、聴く側(多くの場合は親)の価値観の中の話は頷けるものですが、価値観の外の話は途端に顔を曇らせ黙り込むもの。
この枠を取っ払った世界を親自身が身につけた時そこに、ひきこもりに苦しむ我が子が一筋の希望の光を見るのです。
一筋縄ではいかない、「無条件肯定」の世界。
SCS20年以上の支援史の中で「人生のハンドルを再び握り出し、自己実現の道を行った青年の逞しさ」の源には、必ず親の無条件肯定がありました。
人間は、人(親)に信じてもらえて、初めて誰かを信じれるのです。
親亡き後のマネープランを叫ぶ団体も多いものですが、お金だけ残ってどうするのでしょうか?
親が生きているうちに信頼感を我が子に授けた方が、残すお金もまた信頼の中で生きるのではないかと思います。
我が子が「ひきこもる時間」を豊かな時間にするか、貧しい時間にするか?
「豊か」と「貧しい」イメージを参加者の親御さんに考えていただきました。
⬆ 答えは写真の通り。
親だけが、ひきこもる時間を「豊か」にも「貧しく」にも変えられるのです。
どうせならば、豊かな時間にした方が良いと思いませんか?
ひきこもりも不登校も、本質的な回復は「親の力」です。
スタッフ 桝田 智彦