「親育ち・親子本能療法。親が育つということ・他の兄弟のこと」
今回の講座のテーマは「親育ち・親子本能療法。親が育つということ・他の兄弟のこと」というテーマでした。
講座の内容の一部をご紹介します。
まず、親が育つとはそもそもどういうことでしょうか?
例えば、面接の中でよく出会うお悩みに「『無条件の肯定的関心』で子どもの話を聞くことが大切だと頭ではわかっていても、なかなか実践できない、つい余計な一言を言ってしまう」「前に比べたら変わってきていると自分では思うけど、子どもには変わっていないと言われる」というものがあります。
なぜこういうことが起こるかと言うと、「ひきこもりの子にとって良い対応」の知識を身につけることで言葉や態度をある程度変えることはできても、親自身の価値観や信念のレベルで変化が起きていないと、一貫して「無条件の肯定的関心」で子どもに対応し続けることが難しいからです。
「知ってはいてもなかなか実践できない」という葛藤は、親にとってつらいものだと思いますが、この「なかなかできない」という葛藤に入って行くこと、体験することが実は重要です。
SCSの親の会などでの学びは、人によっては受け入れにくかったり、自分にとって都合が悪いことを聞かなければならない場面もあるかもしれません。人間の脳は、そもそも楽で辛くないことを求める性質を持っています。
自分にとって心地よい範囲にいたいのです。(コンフォートゾーンといいます。)でも、本当に親の成長や変化を求めるならば、今の自分の価値観で心地良いと感じるコンフォートゾーンから抜ける必要があります。
今の時代、ネット検索やSNSでいくらでも無料の情報が手に入りますが、脳の癖で「今の自分の価値観で納得のいく」情報ばかりを自然と集めてしまうため、それでは結局現状から抜け出すことができません。
解決策は、これまでの自分の知識や常識の外にあるということを知っておく必要があります。
つまり、「親が育つ」ために必要なものとは簡単便利に手に入る情報、今の自分にとって受け入れられる価値観から一歩外に出ることではないでしょうか?
価値観というのはたとえば…
- 「普通信仰」:みんなと同じように普通に学校に行って、普通に就職するのが安全。
- 「真面目信仰」:真面目に努力さえすれば安心安全でいられる
他にも
- 〜すべきである、
- してはならない
- 人に迷惑はかけてはいけない
など色々ありますが、その親の価値観を受け継いで真面目で我慢強くあろうとしたために、自分の気持ちや本音がわからなくなってしまう子どもがたくさんいます。
このような価値観や信念にもし、お子さんがとらわれてしまっているならばまずは、親自身が自分の持つ価値観や信念を見直して、一歩外の世界に踏み出して、自分自身を解放する必要がある、ということをSCSではお伝えしています。
今回の講座では、少人数のグループに分かれて「自分なりに親育ちできたと思うこと」について話し合いました。
みなさん率直で素直なお考えを聞かせてくださいました。
ときには、親が自分自身の生きにくさに気づくこともあるかもしれません。
それに向き合うのは決して簡単ではない作業だと思います。
それでも、まず親が変わってみせる、成長していく姿を子どもに見せるということが、ひきこもりの解決につながるのではないでしょうか。
追伸:
- ご入会前でも一度に限り4,400円で母親講座・おやじの会へのお試し参加が可能です。会場が比較的広いため、前もってのご連絡やご予約は不要です。ぜひ、参加のご検討ください。
- 当日37℃以上の発熱など、ご家族やご自身の体調に不安がある場合は参加の自粛頂けると幸いでございます。
- 当日は30分ほどの時間短縮の可能性がございます。
スタッフ 臨床心理士:
小林沙也