2017年度 第3回 母親講座 「最良の薬『無条件の肯定的関心』」

2月の母親講座の今回のテーマは「最良の薬『無条件の肯定的関心』

SCSではひきこもりの子どもに向き合う親の基本姿勢として、この「無条件の肯定的関心」を身につけて頂くよう、繰り返し、繰り返し伝えています。

条件をつけずに子どもの話を聞く、聴く。

肯定しながら、且つ関心をもちながら…とは、親が抱く意見や考え、批判を交えず、子どもの話をただそのまま聞き取るということですが…

親は本人の前向きな明るい話題なら喜んで聞くけど、戻らない昔の辛い話やネガティブな話、他者への激しい批判や批難については「いつまでそんなことを言ってるんだ~!」「何をバカなことを言ってるんだ!

と聞きたがらないものです。

 

それでも、無理難題、過度すぎる要求だって、子どもは出してきます…。

今日も、既にそれらを経験している親御さん達が多数集まって来られました。

 

以下は、快くお話くださった“ あるご家庭のお話し ”です。

一時は険悪だった息子さんと定年退職を期に、毎日一緒に過ごすようになり、激しい追求にヘトヘトになりながら、半信半疑で始めた「無条件の肯定」。

何度も失敗を繰り返しながらも実践してきたところ、本人に変化が表れてきた。

これまでずっと薬の副作用で体が重く、家の中でもほとんど動けなかった。そんな子が2月のある日、「風呂に入れそうな気がする」と自分から言い出し、1年ぶりに湯船に浸かることができた!とのこと。

また、家の中の一部でしか生活していなかった彼が、本来の2階にある自分の部屋を使い出したり、全く耳にしていなかった音楽CDを聞き始めたり…と、それらは息子を叱ったり説得しようとしていた頃にはあり得無かった変化だと

話しているお父さんの横顔はしみじみと嬉しそうでした。

そして「本当に、ただ(無条件肯定で)聴くだけで良かったんです」と伝えてくれました。

 

子どもの変化を心のレベルで喜んでいるお父さんの姿に接して、私は感動を覚えました。

どんな話でも、要求でも、本気で自分の話を聞きとってくれる親の姿がそこにあれば、子どもは安心して、次なる課題に進んでいけるでしょう。

混乱の時期や激しい症状には抗精神病薬を使うことがあっても、薬で心や精神の安定が得られることはなく、親の理解ある対応こそが、最良の薬であるはずです。

 

ひきこもり、不登校からの回復への理解と対応の一助となることを願って。

 

スタッフ H.I

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