2018年母親講座 第6回「子は焦って動く!親の理解でちゃんとひきこもれる」
今回のテーマは「子は焦って動く!親の理解でちゃんとひきこもれる」。
このタイトルを初めてご覧になった方はどんな感想を持たれるか?と思います。普通、本当にふつうの感覚ならば「焦ってでも、働いて(学んで)くれなきゃ困る!」と思われるかと…。
しかしながら、ひきこもり回復が難しい点の1つがここにあるのです。
だからこそ、この1つを親御さんが考えてみることが必要になって来る。
何から考えてみるか具体的に申し上げますと、「なぜ、子は焦って動くのか?」そして、「その気持ち」はどんなモノなのかを親が考えてみる事から初めてみることだと思うのです。
ひきこもり状態にいる青年達は(不登校も同様)、同年齢集団と比して遅れをとっていることを非常に気にしております。他人からみれば「取り戻し可能な遅れ」であることが多いのですが、当の本人にはそう思えないのです。
「そう思えない」苦しさを誰にも理解されないから余計に焦る…。
根本的な話となりますが、人間には生得的に「承認欲求」というものが備わっております。これは「受け入れられたい」という軽いものから「認められたい」という強めな欲求を包含致します。それは、家庭という小さな社会でも、学校や会社という社会でも同様に無意識に欲する欲求です。
家庭内でこれが欠損しているとその欲求は外に向かっていく事もある(特に20代前半)ですが、多くの場合は自分の欲求に元ずくものではなく、社会的なステータスを持って親に(家庭内で)認めてもらおうとする悲しい逆輸入パターンを取ることが、ひきこもりではよく見られるのです。
それが、正当に評価されなかったり、頑張っても報われなかったりするとエネルギー切れを生じさせる…。
そもそも、この悲しい逆輸入パターンは本人の欲求ではなく、多くの場合は親を安心させるために選択した行動であるため、就労・就学の喜びはそこにはなく、ただただ我慢のタスクと化すのです。
この機序を親が理解し、我が子の中にある「社会的欲求」をまず最初に育むことが先決であり、この育には「安心してひきこもれる」ことが何よりも大切なのです。
スタッフ 桝田智彦